大学入試共通テストが行われ、高3受験生は二次試験に向けて、寝る間も惜しんで勉強に向かうほど、今後の人生にとって大事な時期になりました。
ここ数年、あるAIベンチャーがAIに共通テストを解かせて、その結果を公表しています。
今回、マイクロソフトとオープンAI陣営の「チャットGPT」、グーグルの「ジェミニ」、AI新興企業の「クロード」に解かせていました。3種類のAIとも満点または、満点近く取れている教科が多いのですが、結果だけを見ると、先行しているチャットGPTが、他のふたつの生成AIよりも点数が高い教科が多く少し差をつけています。下記にチャットGPTの教科ごとの点数を載せましたので、まずはご覧になってください。
英語リーディング 97点 英語リスニング 96点 国語 90点
世界史 97点 日本史 97点 地理 91点
政・経 100点 数ⅠA 100点 数ⅡB 100点
物理 95点 化学 100点 情報 100点
(すべての教科を比較しやすくするため、100点満点に換算しています)
前年度よりも、ほとんどの教科で10パーセント以上点数が上がっています。特に、理数系教科は格段の進歩が遂げられています。しかしながら、国語の点があまり取れていません。国語のみ前年の94点から90点に下がってしまいました。
国語では、三種類のAIすべてが、小説で主人公の心情を選択肢の中から選ぶ問題で間違えていました。
ここで、この事実に対しての解釈は以下の二通りあります。
➀ AIは人の心情までは読み取れない。
➁ 人の心情の解釈は、一通りではない。
私は、➁の方だと思っています。小説などの登場人物の心情の解釈は、読む人によって変わってくるだろうし、ましてや、マーク式の試験問題などでは、間違いやすい選択肢を入れないと、簡単に正解を導かれてしまい点数が高くなってしまいます。それに、よく耳にすることがありますが、著者自身が、自分の書いた小説などを用いた問題を解くと、結構、間違えると言います。➀に関しては、AIは文章をもとにして、登場人物のより正しい心情は読み取れるはずです。つまり、バツになったAIの解答の選択も正解と取ることもできるのです。いろいろなものの解釈は人それぞれ違ってくるのが普通です。
「主人公の心情はこれである。」ではなく、「私は、このような理由で、主人公はこう思っているのではないかと思う。」とか「私はこう思う。」とか意見をたたかわせたり、文章で記述させたりして、その記述の解答が出題者の意図と合わなくても、こういうふうに考えることができるのかと納得させられれば、正解にすべきです。
マーク式で行われる共通テストの悪い点(生徒の教育にとって、良い点は何もない)が、AIによって示されたと思っています。来年度は、どっちともとれるような問題は、避けるようになるとは思いますが、もうひとつ問題なのは、マーク式の問題だと点数が取れてしまうので、やたらと問題量が多いことです。大学を目指すほぼ全生徒がこんなくだらない試験に対応しなければならないのは、かわいそうです。
国が管理する全国一斉のマーク式の大学入試が導入されたのは、1979年からになります。思考力、創造力、主体性を阻害するテスト形式だと思っています。日本は1990年ごろ技術力を主体にして経済の絶頂期を成し遂げましたが、その後、衰退の一途をたどっています。1990年以降では、マーク式の大学入試を乗り切ってきた人たちが、社会の中心になってきたことになります。少なからず、現在の国の衰退に、このマーク式の全国一斉のテストが影響を及ぼしていると思っています。
もちろん、国公立大や難関私立大の入試では、記述の二次試験もありますが、共通テストで失敗すると二次試験での挽回はすべての大学に関して困難になる場合が多いです。「国が管理する全国一斉の入試は廃止して、大学ごとで、それぞれの特徴ある試験を行うこと。」「日程もそれぞれの大学ごとにして、受験のチャンスを増やすこと。」そうなれば良いのですが、難しいと感じていますし、変わったとしても、10年、20年後になるでしょう。今回、AIがそのヒントを与えてくれた気もします。
